エビンルード物語 ② [2020年06月18日]
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船外機を最初に作ったのはEvinrudeではない。
1866年、手回し式をフランス人のT.Reeceが考案したのが最初と言われている。これはアイディアのレベルで、同じフランス人のGustave Trouve’がReeceの案を基に実物を作ったのが世界初の船外機と言われている。
Reeceが考案した手回し式船外機
ガソリンエンジン付きの船外機を1896年に初めて作ったのはアメリカンモーターである。
アメリカンモーターのガソリン船外機
Ole Evinrudeは自分で船外機を設計し、試作した。それを1905年12月に貸しボートに付けてテストした。テストは大成功であった。
Evinrudo船外機1号
特許取得時の構造図(1910)
翌1906年に25台作りそのうち24台が売れた、1.5HP重量62ポンド(約28kg)価格は62ドルであった。
自らテストをするOle
よしこれだ、ということで1907年Evinrude Motor社をミルウォーキーで設立、生産、市販を開始した。
OleとBessは1906年11月21日に結婚、それからは二人三脚でエビンルード モーター社の事業を発展させて行った。
1909年の夏、Bessは素晴らしいキャッチフレーズを考えた。
DON’T ROW !
THROW THE OARS AWAY !
USE AN EVINRUDE MOTOR
「漕ぐことはない、オールはウッチャレ! エビンルードモーターを使おう」 早速ミルウォーキーの新聞に広告を出すと大反響があり、売り上げは倍増した。
Oleの考えは最初からアイスクリームが溶けないうちに運ぶためにローボートにモーターを付けることであったから、最初の設計からモーターブラケットとクランプスクリューが付けられていた。「Detachable・着脱可能」も売りの一つであった。
販売台数も、1910年 1000台、1911年 2090台、1912年 4650台、1913年にはなんと9412台とうなぎ上りに増えていった。
カタログの表紙
このような写真を見ると筆者はある映画の場面を思い出す。その映画はヒッチコックの「鳥」で、主人公の若い女性が姪にお土産にする鳥を入れた鳥かごをもって湖のほとりにやってくる、そして桟橋にもやわれていたボートに乗り船外機のスターターロープを軽く引っ張って対岸のおばさんの家に向かう。たったそれだけのさりげないシーンであるが、ボート文化の違いを思い知らされるのであった。